今後ますます多くなると期待される、大手金融機関などからの鑑定依頼は本社で発注されるので、大手鑑定会社の本部で集中的に処理されることになる。東京・大阪といった大都市に本社があって、地方都市の物件にも不動産鑑定網がある大臣登録の大手不動産鑑定会社に仕事が集中し、大手銀行の地方支店に地元の知事登録業者が営業で訪れても、仕事をとることはできない。地域による業者数の格差もある。東京都と大阪府にある不動産鑑定業者の数は、東京都で八七四業者、大阪三二八業者、合わせて二一○二業者で、二都府だけで全国の三九%を占めている。同じく不動産鑑定士等は東京都一七三七名、大阪府五二五名で、合わせて全体の四四%だ。一方、過疎県の福井県では不動産鑑定業者数二一業者、不動産鑑定士等一九名、鳥取県の業者数は一四、不動産鑑定士等は一五名に過ぎない。不動産鑑定士等の少ない県は鳥取県、佐賀県で一五名、高知県二八名、島根県一七名、秋田県、福井県一九名、岩手県、山形県二〇名、山梨県二二名などである。これら不動産鑑定士等の過疎の県では公的機関からの仕事だけで手一杯で、民間からの依頼はあったとしてもほとんど受けられないのが実情だ。ちなみに、福井県の一業者当たり報酬御は一一〇〇万円、鳥取県は八〇〇万円。一方、東京都の大臣登録業者をのぞく知事登録業者一業者当たりの報酬額は一一〇〇万円、大阪は九〇〇万円だから、報酬額で地域差はない。大都市にいて仕事のあまりない不動産鑑定士は、なぜ地方で開業しないのか不思議でならない。不動産鑑定士の過疎県でも東京、大阪と収入に差がないうえに生活賞が安いのだ。ただ、不動産鑑定士が地方で開業をしようとしても、その地域と何らかの地縁がないと、地方の不動産鑑定協会に入会するために、しばらく時間がかかる。協会に加盟できるまでの問、公的機関の不動産鑑定を受注できなかったり、一般営業がむずかしかったり、協会に保管してある不動産売買事例を閲覧できなかったり、閲覧料として高額の料金を請求されることなどがあり、その間の生活を考えると地方で開業することもなかなかむずかしい。また、地方によっては鑑定協会支部にようやく加入資格を認められても、多額の上納金を払わねば鑑定協会支部への加入が許可されないというルールもあるようだ。
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