筋交いの原理を簡単に説明すると、こうなります。壁面が、二本の柱とこれを固定する梁や桁で四角形になっていることは知ってのとおりです。この四角形に「横からの力」が加わると変形して、いわば平行四辺形になるわけです。ところが四角形に左下から右上にかけて筋交いを入れてしっかり固定したらどうなるでしょうか。同じように「根からの力」を加えて簡単には変形しません。たとえばその力を左から加えるとします。筋交いには「右の方向に伸ばそうとする力」がかかりますが、この「引っ張り力」に筋交いが抵抗して変形を食い止めるのです。逆に右から力を加えると、今度は筋交いに「左の方向に圧縮する力」がかかりますが、やはりこの「圧縮力」に筋交いが抵抗するので変形は防げます。四角形の壁に筋交いを入れるということは。二つの三角形をつくるのと同じです。四角形だと周辺が同じ長さであっても平行四辺形に変わりますが、三角形の場合は辺の長さが伸びるか縮むかして変わらない限り違う形にはなりません。これは「三角形不変の定理」で、筋交いというのはこの定理を応用したものなのです。ただ、大きな力に備えるためには、家の軸組みに合わせて方向を変えて何本かの筋交いを入れることが必要になります。筋交いと筋交いの組み合わせで「家の強さ」を確保するわけです。だが、「筋交い入り壁」であれば「家の強さ」は守られるかというと、そうではありません。筋交いの効果を高めることが必要で、それには筋交いの両端部での止め付けを強化することです。この筋交いのある壁の上部と下部を固定したものを専門的には「耐力壁」といいます。電車に乗って、両手でしっかりと吊り革をつかみ、さらに両足で踏ん張ったときのことを考えてください。この場合、電車が急発進して横から力が加わっても、踏みこたえることができます。しかし、何かの拍子で立っている人の正面から力が加わると、吊り革を持っていないとその人は簡単によろけてしまう。両手で吊り革をつかみ両足を踏ん張っている状態がちょうど地震に抵抗できる「耐力壁」の状態といえるでしょう。「地震による力」はどの角度から加わるかわかりませんから、その力に備えるためには「筋交い入り壁」をバランスよく組み合わせ、同時に筋交いを柱にがっちりと固定することが重要になってくるわけです。材料の特徴を生かしてこそ、家の強さを確保できるのです。
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