女性のための物件情報ブログ

三世帯住宅でデビュー

2011.12.03

家は非常に細長い。それは親の敷地の隅に、庭の広がりを侵さないようにひっそりと建っているからだ。親の住む主屋は敷地の北に寄せて、つまり南の庭をなるべく広く残すような常識的な配置になっている。その庭を侵さないためには、東側の道路沿いに細長く南へ突き出すような配置しかなかった。しかも庭の東南には私が幼少の頃から親しんだ椎の巨本がある。その位置をよけるだけでなく、根を傷めないだけの距離を取るとなると東西の幅も制限される。

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もちろん一部の根は切るわけだが、それがどのくらいまでなら大丈夫か?ということについては、今は亡き辰ちゃんという出入りの植木職人と慎重に相談したものだ。かつてこの敷地には木造二階建ての住宅があり、そこで私と二人の弟が育った。これは両親が、一九五〇年代の初めの、まだ資材が不足し建築面積にも法的制限があった頃、苦労してこぢんまりと建て、子供の成長と共に建て増しや改築を繰り返した建物なので、一番先に結婚した上の弟が家を出る時期にはかなり老朽化していた。そこで旧屋を取り壊して建て直すことになり、当時まだ大学院でのんびり過ごしていた私が設計をすることになった。これはコンクリート造三階建てで、一階に親が、二階三階には二人の弟の家族が住む家である。竣工したのは一九六九年だが、当時はまだ「二世帯住宅」が話題になる前であり、まして三世帯住宅は珍しかったせいか、いくつかの雑誌に取り上げられ、建築家としての私に幸運なデビューの機会を与えてくれた。





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